甘渋、種子形成および果肉の褐斑(ゴマ)の形成の有無による分類(青文字は、当農園にて栽培している品種)
甘
柿完全甘柿 種子の有無に関係なく自然脱渋して常に甘くなる。
果肉に少量の褐斑(ゴマ)が形成される。
富有、松本早生富有、伊豆、次郎など不完全甘柿 種子の有無が自然脱渋に影響する。
(種子が無い部分は渋果となり、褐斑が形成されない)
西村早生、赤柿、筆柿、禅寺丸など渋
柿不完全渋柿 種子の有無が自然脱渋に影響する。
(種子の作用範囲が不完全甘柿より狭いため、渋柿となる)
平核無、会津身不知、甲州百目など完全渋柿 種子の有無に関係なく、常に渋柿となる。
褐斑(ゴマ)が形成されない。
堂上蜂屋、愛宕など
主な甘柿品種の特性
種類 品種名 原産地 大きさ 形 色 成熟期 特 徴 完
全
甘
柿富有 岐阜 やや大 やや扁 橙紅 11月上
〜11月中柿の代表的品種
ヘタすき多い松本早生富有 京都 やや大 やや扁 橙朱 10月中
〜10月下富有の枝変わり
富有より約2週間早熟伊豆 − 中 極扁 橙朱 9月下
〜10月上農水省果樹試育成
生理的落下多い次郎 静岡 やや大 扁円 橙朱 10月下
〜11月上果頂烈果多い
甘みは強いが肉質は粗い不
完
全
甘
柿西村早生 滋賀 中 扁円 黄橙 9月下
〜10月上褐斑(ゴマ)多い
渋果の混入に注意赤柿 京都 中 やや扁 濃紅 9月下
〜10月上早生であるが品質不良
受粉樹用筆柿 愛知 やや小 極長 橙 9月下
〜10月上細長い果形に人気
愛知県幸田地方特産禅寺丸 神奈川 中 やや扁 橙朱 10月中 花粉多く受粉樹に最適
甘い果実の品質はやや不良
甘柿の主な新・種苗登録品種
(青文字は、当農園にて栽培している品種)
品種名 原産地 特 徴 すなみ 岐阜 富有の枝変わり。富有よりも大果、10日ほど早熟。
橙朱色で富有よりも朱い。上西早生 奈良 親は松本早生富有、10日〜15日早熟。
大果。濃紅色。早秋(そうしゅう) 9月下旬から10月上旬にかけて収穫。鮮やかな果色。
果肉が柔らかく、果汁が多い。新秋(しんしゅう) 10月中下旬に収穫。
「富有」より甘く、果汁も多い。太秋(たいしゅう) 10月下旬から11月上旬に収穫。
甘さは「富有」並み、果実が大きく、果汁も多い。甘秋(かんしゅう) 10月中下旬に収穫。
果実の形が良く、「富有」よりやや甘くなる。
(コラム) ”富有”のルーツ
慶応元年3月、大野郡川崎村に生まれた福島才治という博学の人は、明治31年に岐阜県の柿博覧会に自家製の柿を出品するにあたり、地名にちなんだ「居倉御所」という俗名をやめ、立派な名前をつけようと思案しました。「福寿」、「富有」の2案を持って川崎小学校校長に相談したところ、校長先生は中国の古典『礼記』のなかに富有の語源があり、その文章の意味するところは「素質の良いものは自然に全国に広まる天の祐け(たすけ)がある」ことから、「富有」を薦めました。
同展覧会では1等賞、さらに明治36年の品評会でも1等賞となり、その後全国に推奨されて「富有」は柿の代表的な品種になりました。
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